コラム
「確認したはずなのに間違えていた」
「ベテランの自分がこんな単純なミスをするなんて……」
このようなヒューマンエラー(人的ミス)の経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。また、何度注意しても部下のミスが減らず、「気が緩んでいるのでは」と疑心暗鬼になったことがある方もいるかもしれません。
しかし「思い込み」によって起こるヒューマンエラーは、個人の不注意ややる気の問題ではありません。これは脳の「省エネ機能(バイアス)」が正常に働いている証拠であり、人間の仕様上“避けられないバグ”ともいえます。人的ミスを防ぐには、精神論に頼らず「仕組み」で対策することが重要です。
この記事では、ヒューマンエラーが起こる理由を脳科学的な視点から解説し、根本的な解決方法として「自動化(RPA)」を取り入れたアプローチをご紹介します。
【目次】
ヒューマンエラーというと、「気をつければ防げるもの」「本人の姿勢や集中力の問題」と捉えられがちです。しかし、この認識こそが、ヒューマンエラー対策を難しくしている要因といえます。
実際には、思い込みによるヒューマンエラーは、不注意や怠慢によって起こるものではありません。むしろ、経験を積んだ熟練者ほど起こしやすいという特徴があります。
ここでは人間の脳の仕組みに着目し、「なぜ人は思い込みを避けられないのか」「なぜ熟練者ほど思い込むのか」をわかりやすく解説します。
ヒューマンエラーは経験の浅い初心者よりも、仕事に慣れているベテランのほうが陥りやすい問題です。初心者は業務そのものに慣れていないため、常に緊張感を持ちながら一つひとつの動作を確認しています。脳のリソースを多く使う反面、意外と「思い込み」で作業することは少なく、結果として人的ミスも発生しにくくなります。
一方、ベテランの脳は、業務効率を上げるために多くの処理を「自動化(省略)」しています。「いつも通り」というパターン認識が強固になりすぎると、例えば「宛先がいつもと違う」「数値が一桁多い」といった小さな変化を、例外ではなく「ノイズ」として無視してしまうのです。これは人間の脳が持つ高度な機能であるものの、こうした「慣れ」や「慢心」こそがヒューマンエラーの最大の原因となります。
思い込みによるヒューマンエラーは、無意識のうちに非合理的な判断をする「認知バイアス」と呼ばれる脳の働きが関係しています。これは過去の経験や先入観に基づくもので、代表的なものに「正常性バイアス」と「確証バイアス」があります。
| 正常性バイアス(Normalcy Bias) | 異常事態や予期せぬエラー表示が出ても、「自分だけは大丈夫」「たいしたことないバグだろう」と都合よく解釈し、問題を過小評価する心理現象 |
| 確証バイアス(Confirmation Bias) | 「合っているはずだ」という前提のもと、自分の考えを裏付ける情報ばかりを集めてしまい、間違いに気づきにくくなる心理現象 |
これらは脳が情報過多でパンクしないための防衛本能であり、決して悪いものではありません。そもそも「見たいものしか見ない」のが人間の仕様といえるため、意思の力だけで抗うのは難しく、ヒューマンエラー対策にはバイアスを前提とした「仕組み」が不可欠となります。
思い込みによる人的ミスを防ぐうえで、「個人の注意力」だけに頼る対策には限界があります。ヒューマンエラーを根絶するためには、人間の判断を介さない仕組みづくりが欠かせません。その方法として最適なのが、RPA(Robotic Process Automation)による「業務プロセスの自動化」です。
RPAとは、パソコン上で人が行っている定型作業をロボットが代行する仕組みです。思い込みによるヒューマンエラーの多くは「転記」や「照合」といった単純作業の中で発生するため、これらをRPAに置き換えてロボットに任せれば、人的ミスを限りなくゼロに近づけることができるのです。
RPAに向いている業務は、思い込みミスが起きやすい以下のような単純作業です。
こうした作業は「慣れ」で行いやすく、わずかな違いに気づきにくいため、ヒューマンエラーが発生しやすい傾向にあります。
一方、RPAには「慣れ」「疲れ」「バイアス」が一切存在せず、人間が決めたルールに従って100回でも1000回でも、100%の精度で処理を繰り返すことができます。ヒューマンエラーを防ぐには「人間がミスしないように頑張る」のではなく、そもそも「ミスが起きる作業自体を人間がやらない」という考え方にシフトすることが大切です。
実際の現場でRPAがどのように活用されているのか、コールセンター業務の「処理ミス漏れ確認作業」を自動化している株式会社キャトル・ペンシー様の事例をご紹介します。
【課題】
コールセンターCRMとECシステムにおける処理内容の整合性を確認する作業が発生し、1日あたり100〜200件を目視で突き合わせている。作業自体は単調だが、1日のコール業務終了後に行う必要があり、実質的には深夜作業になってしまう。業務上欠かせない工程ではあるものの、頻繁にミスが起こるわけでないため作業が疎かになりやすく、見落としも発生していた。
【解決策】
人間が行う業務フローは変えず、作業後の「チェック工程」のみを自動化。RPAが両方のシステムからダウンロードしたデータを突き合わせ、内容が一致しているかを自動判定し、不一致の場合はフラグが立つ仕組みを構築した。この作業を夜間にRPAが実行することで、担当者は翌朝すぐに照合結果を確認できるようになった。
【効果】
人間が確認する対象が「RPAが検知した不一致データ」に限定されたことで、3人月分以上もの業務負担の削減につながった。人的ミスがゼロになったのはもちろん、「人に任せるのは申し訳ない」と感じていた夜間の単純作業をロボットに任せられるようになり、心理的な負担も軽減されている。この他にも、Web上のデータをスクレイピングしてリスト化する作業など、売上に直結しない定型業務をRPAで自動化しており、費用対効果の高さを感じている。
ヒューマンエラー対策としてRPAが有効だとわかっていても、自分たちの現場で使いこなせるか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この点、クラウド型RPAツール「Coopel(クーペル)」を導入すれば、プログラミング知識がなくても現場の担当者が自分で「ミス防止ロボット」を作成できます。
ノーコードRPAのCoopelなら、マウスのドラッグ&ドロップだけで業務シナリオを組み立てられます。例えば「指定のWebページから必要な情報を取得し、専用のExcelシートに貼り付けて保存する」といった一連の作業も、直感的な操作で簡単に自動化することができます。
【操作イメージ】

まずは「チェック作業だけ」「転記作業だけ」など、特にヒューマンエラーが起きやすい作業から部分的にロボットに任せてみましょう。いきなりすべてを自動化しようとせず、小さく始めて効果を確認しながら段階的に範囲を広げていくことをおすすめします。
「思い込み」は脳の仕様であり、個人の精神力だけで防ぐことはできません。指差呼称やダブルチェックといったアナログな方法でもヒューマンエラーを「減らす」ことは可能ですが、どれだけ注意していても限界はあり、完全に「なくす」ためには人の判断や経験に依存しない仕組みづくりが必要です。
部下がミスをしたときは、本人の意識や姿勢を責めるのではなく「ミスが起きるプロセス(仕組み)」そのものを疑ってほしいと思います。思い込みミスが起きやすい単純作業をRPAに任せることは、単なる業務効率化にとどまらず、従業員を精神的なプレッシャーから守る「優しさ」でもあるのです。
人的ミスによる信用低下や修正工数を考えれば、RPA導入の費用対効果は非常に高いといえます。まずはCoopelの無料トライアルで単純作業を一つ自動化し、その正確さと安心感を体験してみてください。