コラム
動画生成AIを導入しても、制作が思ったように速くならないことがあります。多くの場合、その原因は生成そのものではなく、確認や承認の体制が整っていないことにあります。
この記事では、実際に「誰が」「どの工程を」担い、承認フローをどう固定化すれば、動画制作が特定の担当者に依存しない仕組みになるのかを具体的に整理していきます。
【目次】
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特にボトルネックになりやすいのが、確認・承認を特定の担当者に依存している状態です。動画生成そのものが速くなっても、その先の確認や承認を特定の1人が抱えている限り、全体のスピードはその人のペースに縛られます。その人が休めば止まり、異動すればノウハウごと失われる可能性もあります。役割分担と承認フローを明文化し、進行状況を可視化すれば、この状態から抜け出せます。
まず、動画制作の一連の工程と、関わりうる部門の例を整理します。
| 工程 | 主担当 | 確認・承認 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 企画 | マーケティング | – | 目的・ターゲット・チャネルを決める |
| 生成 | 制作担当 | – | プロンプトの型に沿って生成する |
| 確認(ブランド) | マーケティング・広報 | 広報 | ブランドとの整合性、表現の適切さを確認する |
| 確認(権利関係) | 制作 | 法務 | 商用利用の範囲、素材の権利関係を確認する |
| 承認 | マーケティング責任者 | – | 最終的な公開判断をする |
| 配信・活用 | マーケティング・営業 | – | チャネルへの配信、営業フォローへの活用 |
| 分析 | マーケティング | – | 視聴データの確認と次の企画への反映 |
すべての工程に全部門が毎回関わるわけではありません。社内向けの簡単な動画であれば、広報・法務の確認は不要かもしれません。一方、対外的な発信や新しい表現を含む動画であれば、広報・法務の確認を経る必要があります。この線引きが、次の承認フローの固定化につながります。
なお、「確認(ブランド)」の工程では、ロゴや配色といった見た目の整合性だけでなく、企業として避けるべき表現やトーンになっていないかも含めて見ることになります。「確認(権利関係)」の工程では、生成に使った参考素材の権利関係や、商用利用の範囲がプランに合っているかを確認します。それぞれ確認する観点が異なるため、1人が様々な段階を兼ねるよりも、担当を分けておく方が漏れを防ぎやすくなります。
これから動画生成AIの導入を検討するなら、以下の記事もおすすめです。
「動画生成AIおすすめ15製品を比較|法人利用で見るべき観点」(独自モデル製品を中心に紹介)
「動画生成AIプラットフォーム比較|複数モデルを使い分けるなら」(複数モデル使用できるプラットフォームを紹介)
動画の種類によって、通るべきフローを事前に分けておきましょう。
この2つのフローのうち、どちらのルートを選ぶかどうかをあらかじめ決めておくことで、担当者は「この動画はどの基準に該当するか」を容易に判断できます。
どちらのフローに当たるか迷うケースも出てきます。そのときのために、疑義の種類ごとにエスカレーション先を決めておくと運用しやすくなります。ブランドや表現に関する疑義であれば広報へ、法務・権利関係に関する疑義であれば法務へ、公開判断そのものは責任者へというように振り分け先を分けておくのが基本です。
「迷ったら上司に相談」という運用のままだと、何を相談すべきかの線引きがなく、結局その場の上司の裁量や忙しさに判断が左右されてしまいます。他部署への接触を上司経由にするか、基準を満たせば担当者が直接確認してよいとするかは会社の規模やルールによって異なりますが、いずれの場合も「どのケースなら確認・相談が必要か」の基準をあらかじめ決めておけば、担当者は都度判断に迷わず、上司側も本当に判断が必要な案件だけに集中できます。
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最初から全部門を毎回巻き込む設計にすると、確認待ちの工程が増えすぎて、属人化解消のために作ったはずのフローそのものが重くなってしまいます。
現場で動画を作っている部門から始め、法務・広報のような確認系の部門は、必要な条件に当てはまる場合だけ関わる形で段階的に組み込んでいくと定着しやすくなります。たとえば、まずはマーケティング部門の中で1つの動画シリーズに限定してフローを試し、問題が出た箇所だけ広報・法務を巻き込む形に調整してから、他の部門やシリーズに広げていくという進め方が現実的です。最初から全社で統一ルールを作ろうとすると、部門間の調整だけで時間がかかり、肝心の運用が始まらないということも起きやすくなります。
一度作ったフローも完成形ではなく、運用しながら定期的に見直す前提で始めることをおすすめします。実際に運用してみると、想定していなかった種類の動画が出てきたり、確認が形骸化してしまう工程が見つかったりします。数ヶ月に一度は、フローが実態に合っているかを見直す場を設けておくと、仕組みが古くなって使われなくなることを防げます。
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生成AIの導入を「ITツールの導入プロジェクト」として情報システム部門やDX部門だけに任せてしまうと、ツールは導入されても現場の業務プロセスは変わらず、定着しないまま終わってしまうことがあります。それは動画生成AIも同じで、ツールを選ぶことと、それを部門横断の仕組みとして機能させることは別の取り組みであり、後者は業務プロセスの再設計として進める必要があります。
ツールを導入するだけでは、既存の業務プロセスや役割分担、確認・承認の基準まで自動的に整うわけではありません。動画制作に生成AIを組み込むのであれば、各工程の担当や確認・承認のルールまで含めて運用を設計することで、ツールを業務の中で継続的に使える状態につながります。
動画生成AIの導入効果を左右するのは、ツールの性能そのものよりも、承認フローと役割分担をどう決めるかです。まずは工程ごとの担当部門を整理し、通常フローと拡張フローを分け、判断に迷ったときのエスカレーション先を決めることから始めてみてください。自部署だけで抱え込まずに進めたい場合は、業務設計そのものからのご支援も承っておりますので、ぜひご相談ください。
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