コラム

2026年6月3日

採用管理システムの応募者対応を自動化|HRMOS×Coopel×生成AIで実現

「応募が入るたびにATS(採用管理システム)を開いて、職務経歴書をダウンロードして、目を通して、面接担当者を決めて、Slackで共有して……。」採用担当の方なら、一度はこうした経験があるのではないでしょうか。1人当たりの作業は10分で済んでも、5件の応募が来れば1時間以上の工数になります。本当は候補者と話す時間に使いたいのに、気づけば一日が事務作業で終わっているということもあるでしょう。
本記事では、株式会社ビズリーチが提供する採用管理システム「HRMOS(ハーモス)採用」を題材に、当社のRPA「Coopel(クーペル)」と生成AIを組み合わせた、応募受付から一次評価・担当者アサイン・Slack通知までの自動化事例をご紹介します。どこをAIに任せ、どこを人が担当するかという設計の考え方を中心にお伝えします。
※本記事に登場する氏名はすべて架空であり、実在の人物とは関係ありません。

【目次】

  1. 採用業務の「目に見えないコスト」
  2. なぜHRMOSの応募者対応は自動化に向くのか
  3. 応募受付からSlack通知まで、4ステップで全自動
  4. 応募者対応自動化で変わったこと、そして定着させるための3つの考え方
  5. まとめ:まずは1ポジションから採用の事務作業を自動化しよう

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採用業務の「目に見えないコスト」

応募者対応の負荷は、数字にしてみると改めてはっきりします。応募1件あたりにかかる時間を分解すると、次のような内訳になります。

工程1件あたりの時間性質
HRMOSにログインして応募者ページを開く1〜2分作業
職務経歴書をダウンロードして開く1〜2分作業
内容を読んで一次所感を整理する10〜20分判断
評価を入力し、面接担当者を決める2〜3分作業
slackで共有する1〜2分作業

時間で見ると作業工程の比率が高く見えますが、実際に担当者を消耗させているのは「判断」の工程であることが多くあります。書類を読み、過去の候補者と比較し、評価軸に照らして所感をまとめるのは、10分でもかなり頭を使う作業です。これを一日に何度も繰り返すと、本当に集中したい面接の時間にはすでに集中力や思考力を使い切ってしまう、ということが起こります。
加えて、人の評価は時間帯や曜日、その日のコンディションによって少なからずブレます。これは担当者のスキルの問題ではなく、人である以上どうしても起きることです。自動化の効用は、こうした見えにくいコストにこそ効いてきます。単純作業の時間が消えるだけでなく、判断に入る前の「下準備」をAIに肩代わりしてもらえ、そして、誰が一次対応しても、評価の粒度が一定に揃います。
応募者さばきに追われている状態から、面接・候補者対応に集中できる状態に変わる、これが自動化の本当のリターンです。

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なぜHRMOSの応募者対応は自動化に向くのか

そもそも、自動化に向いている業務には共通項があります。

HRMOSの応募者対応は、この3つすべてに当てはまります。新着応募が入れば「応募確認 → 書類確認 → 一次評価 → 担当者設定 → 社内共有」の流れはほぼ毎回同じです。それでいて、対応が1日遅れれば候補者の温度感は下がり、他社に流れてしまうこともあります。手順が決まっていて、スピードが価値になる業務は、自動化の最有力候補なのです。

応募受付からslack通知まで、4ステップで全自動

4ステップでとらえる自動化シナリオ全体像

まずはシナリオを大きく4つのステップで整理します。

ステップステップ名役割
1取得HRMOSにログインし、新着応募者の情報と職務経歴書を取得する
2照合スプレッドシートを参照し、「選考ポジション → 担当者」を紐づける
3評価職務経歴書を生成AI(Google Gemini)に渡し、評価とコメントを生成する
4反映HRMOSに評価と担当選考官を登録し、slackで担当者に通知する

ステップ1:HRMOSから応募情報を「取得」する

HRMOSの応募通知を検知し、CoopelがHRMOSにログインします。対象者の情報や職務経歴書などの書類は、スクレイピングやファイルダウンロードの機能を使って自動で行います。

ステップ2:担当者をスプレッドシートで「照合」する

「照合」ブロックでは、スプレッドシートを用いて必要な情報を切り出します。こうすることで、ポジションごとに事前に担当者を紐づけることができ、HRMOSの担当選考官の設定や担当者へのSlack通知を自動化できます。

ステップ3:AIが職務経歴書を一次「評価」する

実際に使ったプロンプトとポイント3つ

今回のシナリオの一番のポイントが「評価」ブロックで行うAIによる一次評価です。職務経歴書をGoogle GeminiやChatGPT等の生成AIサービス に送り、構造化されたフォーマットで評価結果を受け取ります。
プロンプトは次のように設定します。

あなたは選考官です。
添付された履歴書・職務経歴書を読み取り、以下のフォーマットで評価し、結果をJSON形式で返してください。
余計な返答は不要です。

-総合評価:S / A / B / NG のいずれか
-評価コメント:120字以内で根拠を要約

評価軸:
1.募集ポジションに対する経験マッチ度
2.在籍企業・年数の傾向
3.数値で語られた実績の有無
4.経歴の一貫性

このプロンプトのポイントは以下の4つです。

① 役割(ペルソナ)を最初に与える

「あなたは選考官です」と役割を与えることで、AIの回答スタイルを固定でき、今後の回答のブレが大幅に減ります。

② 出力フォーマットを厳格に縛る

項目名や文字数、出力形式(JSON形式など)を明示しておくと、後段でCoopelがHRMOSに転記しやすくなります。「自由に書いて」と頼むと、AIは親切心で前置きや結論を足してしまい、のちに自動化する際に余計な情報となってしまいます。

③ 評価軸を明文化する

これは副次効果が大きい設計です。プロンプトに評価軸を書くという行為は、「自社が応募者の何を見ているか」を言語化する作業そのものです。属人化していた評価観点が、自然と可視化されていきます。

④ AIに合否判断は行わせない

AIの所感はあくまで「一次スクリーニングの補助」であり、最終的な合否判断や面接でのコミュニケーションは人にしかできません。この線引きを最初に決めておくと、社内合意が取りやすくなります。「AIに採用判断を任せる」と聞くと身構える人も、「AIに一次所感だけ書かせる」「最終判断は必ず人がやる」と聞けば、導入のハードルは大きく下がります。

プロンプトは使うほど「組織の資産」になる

このプロンプトの本当の価値は、運用するほど磨かれていくことにあります。

こうした企業ごと・部署ごとに大切にしている評価観点は、最初から完璧に書き出せるものではありません。実際の応募対応を回しながら、「ここはもう少し深掘りしてほしい」「この観点が抜けていた」と気づくたびに、プロンプトに追記していきます。そうやって3か月、半年と運用するうちに、プロンプトは「自社の選考眼を写し取った、組織固有の評価アセット」へと育っていきます。磨かれたプロンプトに沿ったAI評価は、新人担当者が一次対応してもベテランと近い目線での出力となるため、評価品質の組織的な底上げにもつながります。属人化していた選考眼を、組織の資産に変える。

ステップ4:AIの出力結果をSlackに「反映」する

AIの一次評価が完了すると、Coopelは担当選考官をHRMOSに登録したうえで、その担当者のSlackメンション付きで次のような通知を投稿します。

担当者は通知を見た瞬間に、「自分にアサインされた」「AIの一次所感はB評価」「詳しく見るべきポイントはコメントに書かれている」と把握できます。HRMOSにアクセスする前に、初動判断のための材料がすべて手元にある状態になります。
応募から通知までの所要時間は、おおよそ数分以内。これまで半日〜1日かかっていた初動が、桁違いに早くなります。


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応募者対応自動化で変わったこと、そして定着させるための3つの考え方

実際に、応募者の一時対応を自動化したことで変わったことを一覧にします。

項目Before(手動)After(自動化)
応募確認までの時間半日〜1日数分以内
担当者アサイン作業者ごとの判断(属人化)スプレッドシートのマッピングで自動
一次評価の所要時間1人あたり10分前後0分(通知時点で所感メモあり)
評価コメントの粒度担当者・日によってばらつき統一した評価軸で揃う
採用担当の動き方応募さばきに追われる面接・候補者対応に集中できる

ひとことで言えば、「事務作業に追われる採用」から「候補者との対話に集中できる採用」へシフトした、というのが最大の変化です。
さらに、このシナリオ構築を通じて見えてきた、HRMOSに限らず使える普遍的なポイントを3つご紹介します。

① 「人がやるべきこと」と「AI・RPAに任せること」を切り分ける

最終的な合否判断や人柄・意欲を直接確かめる面接、オファーは人にしかできません。一方で、システムへのログイン・ダウンロード・転記・メッセージ通知などの定型作業は、自動化ツールの方が速く、正確です。また、散らばったデータから要点を抽出してまとめる作業はAIが優れています。このように役割を明確に分けることで、人は人にしかできない仕事に集中できます。

② 設定値とプロンプトはシステムの外で管理する

担当者名・評価軸といった「運用しながら変わっていく値」をシステムに直書きすると、変更のたびにシステムを触る必要が出てきます。スプレッドシートやプロンプト用のテキストとしてシステム外に切り出しておけば、現場の担当者自身が更新でき、プロンプトも使いながら少しずつ磨いていくことができます。自動化シナリオ本体は安定稼働を重視し、運用で変化する部分はシステム外で動かすことが長く使える自動化システムの作り方です。

③ まずは1ポジション・1業務から始める

「全部署・全業務を一気に自動化しよう」と構えると、要件定義だけで疲弊します。応募が多い1ポジションだけ、評価通知だけなど小さく始めて動くものから始め、それが軌道に乗れば関係者の解像度が一気に上がり、次の自動化候補が自然と見えてきます。

まとめ:まずは1ポジションから採用の事務作業を自動化しよう

HRMOSの応募者対応は、「手順が決まっていて」「スピードが価値になる」という、自動化しやすい条件が揃った業務です。さらにCoopelからGoogle Geminiの機能を呼び出すことで、担当選考官の自動アサインと評価登録やAIによる一次評価コメントの自動生成、応募から数分以内のSlack通知までを、一連の流れで自動化できます。事務作業の削減はもちろん大きいですが、それ以上に大きいのは採用担当が候補者そのものに向き合える時間を確保できることです。書類整理ではなく、候補者との対話にこそ採用の成果は宿ります。まずは応募の多い1ポジションから、自動化を試してみてはいかがでしょうか。

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