RPAって何? series 3/7

EUC型RPAの特徴

前回は、RPA導入の進め方やアプローチのパターン別(PJ主導型、EUC型)の特徴、PJ主導型におけるロボ化の考え方などをご説明しました。第3回目はエンドユーザー中心にRPAの開発・導入を進めていく場合のRPAの製品選定のポイントなどを解説していきます。
大脇 智洋(DeNAのRPAマスター)
大脇 智洋(DeNAのRPAマスター)
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RPA製品のタイプ

EUC型のRPA導入のアプローチでは、ITリテラシーが高くないユーザーでもロボット開発ができるようなUI・UXの製品が望ましいです。RPA製品をシステム構成で分類すると、従来からあるサーバー型、クライアント型に加えて、最近ではSaaSとしてRPAを提供するクラウド型に大別できます。

サーバー型 クライアント型 クラウド型
定義 オンプレのサーバーを自前で用意して、サーバー上でロボットの開発・実行が行われる ローカルPC上でロボットの開発・実行が行われる クラウド上でロボットの開発・実行が行われる
ロボット管理方式 サーバー上で中央管理 ローカル管理 クラウド上で中央管理
特徴
  • ローカルアプリ、WEBアプリの両方に対応
  • 実行マシンOSはWindowsのみ
  • ローカルアプリ、WEBアプリの両方に対応
  • 実行マシンOSはWindowsのみ
  • 基本はWEBアプリのみ対応(Excelには対応しているケースが多い)
  • 実行マシンのOSはWin/mac両方に対応

サーバー型は、インフラを用意する必要があるなど導入コストが高いですが、大規模にロボットを管理・運用するのに適した機能を有したエンタープライズ向きの製品が多いです。ただし、UI・UXの面ではある程度のITリテラシーがユーザーに求められるものが多い印象。一方、クライアント型やクラウド型は、比較的導入しやすく、UI・UXの点においてもITリテラシーの高くないユーザーにも使いやすいものが多いため、EUC向きと言えます。また、RPAはWindowsのみに対応した製品が多い中で、クラウド型はMacでも利用可能なものがあるため、Macで利用する必要がある場合はクラウド型一択になります。

RPAで操作できるシステム

クラウド型のRPAで操作できるシステムは、基本はSaaS(クラウド上にあるWEBアプリ)になります。ブラウザで操作するWEBアプリであっても、社内ネットワーク内のシステムには基本的には対応していません(VPNなどのオプションサービスにより対応できる場合がある)。
以下はDeNAにおける主要な社内システムの一覧です。このうちクラウド型RPAで操作可能なシステムに丸(●)を付けてみました。DeNAの特徴として、社内システムにSaaSを多く取り入れているため、3分の2くらいが操作可能になっています。

では、残りの3分の1のシステムを扱う業務を自動化したい場合はどうすればいいでしょうか。社内ネットワーク内にあるシステムをクラウド型RPAで操作するにはVPNのようなオプションサービスを利用するか、ローカル実行機能※1を有した製品を利用する必要があります。Coopelのローカル実行機能を利用した場合の操作可能システムではすべて利用可能になります。
※1 ローカル実行機能:クラウド側ではなくPC側のエージェントでロボットを実行する機能

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EUC型導入を成功させるには

エンジニアでなくてもExcelマクロのVBAやGoogleAppsScript(GAS)などを使って業務を効率化しているビジネスユーザーも多いでしょう。そういった多少のプログラミング経験のあるユーザーを頂点として、RPAの対象ユーザーをITリテラシー別に3段階に分類してみました。

レベル 基準 RPA開発ユーザーとしての期待値
3 VBAやGASなどのプログラミングの経験がある EUC展開におけるユーザー部門のリーダークラス人材として期待できる
2 Excel・スプレッドシートでIFやVLOOKなどの関数を使いこなせる 一定時間のトレーニングすれば開発者として期待できる。難しいUIのRPA製品の開発には向かない
1 EXCEL・スプレッドシートで関数を使いこなせない 1からロボのシナリオ開発するのは難しい。業務パターン毎に用意されたシナリオテンプレートをカスタマイズする程度なら可能

EUC型でRPA導入を進めようとする場合、レベル1やレベル2のユーザーがターゲットとなるケースが多いと思います。特にレベル1のユーザーは1からロボットを開発するのは難しいため、あらかじめテンプレートが用意されているRPA製品がオススメです。
※Coopelに付属するシナリオテンプレートは こちら

次回(第4回)は、「RPA製品の比較」について解説していきます。

大脇 智洋(DeNAのRPAマスター) 株式会社ディー・エヌ・エー IT戦略部 部長

大脇 智洋(DeNAのRPAマスター) 株式会社ディー・エヌ・エー IT戦略部 部長

新卒でSIerに入社し、システムの開発・運用を経験。
2006年より会計系コンサルファームにて、J-SOX導入支援や業務改革などのプロジェクトに従事。2012年よりDeNAにて、グローバル経営管理基盤の統一、「Slack」の全社展開、「RPA」を活用した業務改善のプロジェクトなどを担当。RPA関連のイベントにおいてユーザー企業の立場から事例紹介する活動も行っている。