「Webサイトの情報を手作業で集めるのが大変」「競合の価格を毎日チェックするのは面倒くさい」
スクレイピング(Webスクレイピング)という言葉は聞いたことがあるけれど、「なんだか難しそう」「法律的にグレーなのでは?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
本記事では、Web情報の自動収集に関する疑問や不安を解消するため、専門知識がなくても安全かつ合法に実施する方法をわかりやすく紹介します。藤本知哉弁護士の監修・解説コメントも紹介しています。
この記事を通じて、スクレイピングへの不安をなくし、あなたの業務をよりスマートに進める第一歩を踏み出しましょう。
【目次】
- Webスクレイピングは違法ではない!ただし守るべき「2つのルール」があります
- ルール1:国が定めた「法律」 特に知るべきは著作権法
- ルール2:Webサイト毎のルールを守ろう
- 【実践】スクレイピングが禁止か、3ステップで安全に確認する方法
- もしルールを破るとどうなる?「バレる」仕組みと考えられるリスク
- エンジニアでなくても安全にスクレイピングを自動化する始め方
- まとめ:ルールを守って、Web情報収集をビジネスの味方に
安全に始めたいけれど、どのツールが合うか迷う方へ
Webスクレイピングは違法ではない!ただし守るべき「2つのルール」があります
結論から言うと、Webスクレイピング自体は違法ではありません。
スクレイピングとは、人間がブラウザでWebサイトを見て、情報をコピーして整理する作業を、プログラムが代わりに行う仕組みのこと。つまり、手作業のデータ収集を自動化しただけの行為です。
ただし、現実の世界で車を運転するには交通ルールがあるように、Webの世界にも「守るべきルール」が存在します。
ルールは、大きく分けて次の2つです。
- 国が定めた「法律」
- 各Webサイトが定めた「利用規約」

ここからは、初心者の方でもすぐ理解できるように、「法律」と「利用規約」それぞれのポイントを解説していきます。
ルール1:国が定めた「法律」 特に知るべきは著作権法
ここでは、スクレイピングに関わる法律の中でも、特にビジネスで活用するうえで重要な「著作権法」と「業務妨害」の2つにポイントを絞って解説します。
著作権のある情報をどう扱うか?
まず押さえておきたいのが「著作権法」です。
著作権とは、「作者の許可なく、作品を勝手に使ってはいけない権利」のこと。Web上の文章・画像・デザイン・プログラムなど、誰かが作ったコンテンツにはこの権利が発生します。
(弁護士コメント:通常、個々のデータそれ自体は著作物として認められないケースが多く、その場合、著作権は発生しません。)
スクレイピングではWeb上のデータを自動的に取得しますが、その情報をどう使うかによって「合法」か「違法」かの判断が分かれます。
【OKな例(情報解析目的)】
- スクレイピングで集めた価格データを、社内の会議資料でグラフ化して市場分析に使う
- 集めたニュース記事の傾向を分析して、自社のPR戦略を立てる
(弁護士コメント:予定する利用が情報解析目的のために著作物を利用する場合として認められるかは、弁護士等の法律の専門家のアドバイスを得ておくことが必要です。また、スクレイピングした著作物が漏えいすることがないよう十分なセキュリティを設定しておくことも必要です。)

【NGな例(複製・公衆送信)】
- 他のブログ記事を丸ごとコピーして、自社のブログとして公開する
- ECサイトの商品画像を無断で収集し、自社の比較サイトに掲載する

スクレイピングした情報は、社内での分析にとどめるなら、基本的には問題ありません。
やりすぎると「業務妨害」になるケースも
もうひとつ注意すべきなのが、「業務妨害」です。これは簡単に言えば、相手の仕事やシステムの運営を邪魔してしまう行為のことです。
「岡崎市立中央図書館事件」と呼ばれる有名な事例があります。データ収集のための便利なプログラムを使ってしまったせいで、図書館の利用者みんなが使いたいシステムがパンクしてしまった事件です。
意図的なサイト攻撃ではなくても、短時間にアクセスを集中させすぎると、サイトのサーバーに大きな負荷がかかります。結果的に、他の利用者がサイトを見られなくなってしまうのです。
「思いやりのあるスクレイピング」こそ、安全で長く続けられる第一歩です。スクレイピングを行うときは、人間が操作するのと同じくらいのペースで、やさしくアクセスすることを心がけましょう。
ルール2:Webサイト毎のルールを守ろう
法律は国全体のルールですが、Webサイトにもそれぞれ独自の「ルール」があります。それが「利用規約」です。
同じようにデータを集める行為でも、あるサイトではOKでも、別のサイトではNGという場合があります。この違いを決めているのが、サイト運営者が設定した「利用規約」なのです。
利用規約はどこにある?どうやって見るの?
利用規約は、ほとんどのWebサイトでページの一番下(フッター部分)に掲載されています。「利用規約」「Terms of Service」「ご利用条件」などのリンクが目印です。
規約のページを開いたら、ブラウザの検索機能(Ctrl+F)で、以下のキーワードを検索してみましょう。
- スクレイピング
- クローリング
- ロボット
- 自動収集
- 複製
- 転載
これらの言葉を含む条文で「禁止」「許可なく行わないこと」などと書かれていた場合、そのサイトではスクレイピングが原則NGという意味です。
もう一つのヒント「robots.txt」とは?
スクレイピングを行う前に、もう一つチェックしておきたいのが「robots.txt(ロボッツ・テキスト)」というファイルです。
サイトの入り口にある「関係者以外立ち入り禁止」や「この先は自由にどうぞ」という看板のようなものです。Webサイトの運営者が、検索エンジンや自動プログラムに対して「どこまで見てもいいか」を示しています。確認方法はとても簡単です。
サイトのURLの最後に「/robots.txt」をつけてアクセスしてみましょう。(例:https://coopel.ai//robots.txt)
画面に「Disallow:」と書かれている部分が「立ち入り禁止」を意味します。

「robots.txt」は少し専門的に見えますが、“Disallow”という単語があるかどうかだけチェックすれば十分です。
この一手間をかけるだけで、相手のサイトに迷惑をかけるリスクをぐっと減らせます。
【実践】スクレイピングが禁止か、3ステップで安全に確認する方法
スクレイピングには「法律」と「利用規約」という2つのルールがあると分かりました。では、実際に自分がスクレイピングを行うとき、可否をどう判断すればよいのでしょうか。
ここでは、初心者でもすぐに実践できる確認方法を、3つのステップで見ていきましょう。
Step1:サイトの「利用規約」を確認する
まずは、サイトごとに定められている利用規約をチェックしましょう。
「利用規約」や「Terms of Service」のリンクからアクセスし、「禁止」「無断」「許可なく」といった表現が含まれていないか確認します。
Step2:「robots.txt」を確認する
次に、サイトの「robots.txt」を見てみましょう。
サイトURLの末尾に「/robots.txt」をつけてアクセスし、「Disallow」の指定がないかチェックします。
Step3:APIが提供されていないか確認する
最後に、サイトが公式APIを提供していないかを調べましょう。
APIとは、サイト側が公式に用意してくれた、データ取得用の専用窓口です。サイト名に「API」や「developer」などをつけて検索すると、開発者向けページが見つかることがあります。
もしAPIが用意されている場合は、それを使うのが最も安全で、マナーの良い方法です。
こんなサイトは要注意!具体的な禁止サイトの例
以下のようなサイトは、スクレイピングを禁止している場合が多いので特に注意しましょう。
- ログインが必要な会員制サイト:SNS、Webメールなど
- 頻繁に更新される情報が多いサイト:株価情報、航空券予約サイトなど
- 利用規約で明確に禁止している大手プラットフォーム:Amazon、楽天、X(旧Twitter)など
これらはあくまで一例です。最終的には必ずご自身で利用規約を確認しましょう。
もしルールを破るとどうなる?「バレる」仕組みと考えられるリスク
スクレイピングでルールを守らないと、サイト運営側が不自然なアクセスを検知し、段階的な対応(=ペナルティ)が行われます。ここでは、その仕組みとペナルティを解説します。
なぜバレるのか?IPアドレスによるアクセス制限など
Webサイト運営者は、サイトの安定性やセキュリティを守るためにさまざまな監視を行っています。
人間離れした速度でのサイトアクセスや、同じIPアドレスからの大量アクセスは、サイト側が異常として検知できます。
考えられるペナルティ
ここでは、スクレイピングが発覚した場合に起きうる代表的なペナルティをご紹介します。ペナルティが軽い順にレベル1~3まで並べています。
レベル1:IPアドレスのアクセス禁止
あなたのPCやオフィスの回線から、そのサイトが見られなくなります。一時的または恒久的にそのIPアドレスからのアクセスをブロックされます。
レベル2:アカウントの停止
ログインが必要なサイトでは、アカウントが停止され、サービスが使えなくなります。会員制サイトやSNSなどでは、利用規約違反の疑いでアカウント一時停止や削除が行われます。
レベル3:警告や損害賠償請求
運営からの正式な警告や、弁護士を通じた停止要求や損害賠償請求が発生します。
大量データの無断転載、サーバーダウンを引き起こすなど悪質性が高いケースでは、法的手段に進む可能性があります。
(弁護士コメント:前述の「岡崎市立中央図書館事件」では、妨害する意図はなかったにもかかわらず、開発者が業務妨害の疑いで逮捕される事態が生じました。)
エンジニアでなくても安全にスクレイピングを自動化する始め方
スクレイピングにはルールがあることは理解できても、実際にルールの確認や設計、日々の運用までを自分たちだけで担うのは負担に感じる方も多いかと思います。
そんなときは、Webデータ収集の設計・構築から運用までを専門チームに任せるという選択肢があります。Coopelでは、要件のヒアリングをもとに「安全な運転の仕方」そのものを設計し、収集の仕組みづくりから日々の運用までを担当します。
「安全運転」をサポートできる理由
最大の特徴は、「人間と同じようにブラウザを操作する」仕組みで収集ロボットを設計・構築している点です。サイト裏側のデータを直接抜き取るのではなく、実際に人の手が操作するのと同じ手順を再現するため、サイトに過度な負荷をかけず、異常検知されにくい運用を実現できます。
この設計・構築・運用までを、専門チームが一貫して担当します。

手軽に使えるスクレイピングツールを比較しました。まずはどんなツールがあるのか知るところから。
Web情報収集を自動化!無料で使えるスクレイピングツール10選
活用事例:競合ECサイトの価格調査を安全に自動化するまで
ここでは、架空のEC担当者「鈴木さん」のストーリーを通して、競合製品の価格調査の自動化を行うまでの流れを見てみましょう。
1. 毎日の手作業に限界を感じていた
鈴木さんは、競合ECサイトの価格を毎日30分かけて手で調べ、Excelにまとめていました。単純作業に時間を奪われ、本来注力したいはずの販売戦略立案やデータ分析に集中できていません。
2. Coopelに相談し、要件をヒアリング
この記事を読んだ鈴木さんは、対象サイトの「利用規約」と「robots.txt」の確認も含めてCoopelに相談。何をどこまで自動化できるか、要件を一緒に整理してもらいました。
3. 設計・構築から運用開始まで任せられた
ヒアリング内容をもとに、Coopelが安全な方法で情報収集を行うシステムを設計・構築。取得したデータをただ集めるだけでなく、集計・分析までを行うAIエージェントとして構築してもらい、サイトへの負荷に配慮した運用ルールも合わせて設定しました。
4. 今では毎日、自動で価格リストが完成!
鈴木さんのもとには、毎朝決まった時間に最新の価格情報だけでなく、その集計・分析結果や、そこから見えてくる価格戦略の方向性までまとめて届くようになりました。鈴木さんは「データを集めるところから、分析や次の一手の検討まで任せられるようになり、意思決定のスピードが上がった」と話します。
まとめ:ルールを守って、Web情報収集をビジネスの味方に
スクレイピング自体は違法な行為ではありません。「法律」と「サイトのルール」という2つのルールを適切に理解し、適切な範囲で活用することで、著作権法への配慮とサーバーへの過度な負荷に注意することが重要です。アクセス先サイトへの「思いやり」の心が、安全な運用の第一歩に繋がります。
また、スクレイピングを始める際は、事前に「利用規約」「robots.txt」「APIの有無」を確認する習慣をつけましょう。
(弁護士コメント:予定する利用が情報解析目的のために著作物を利用する場合として認められるかは、弁護士等の法律の専門家のアドバイスを得ておくことが必要です。また、スクレイピングした著作物が漏えいすることがないよう十分なセキュリティを設定しておくことも必要です。)
ルールを正しく理解すれば、スクレイピングはあなたのビジネスを加速させる強力な味方になります。もし自動化を検討中の業務がありましたら、私たちCoopelがサポートいたします。お気軽にご相談ください。
