コラム

2026年5月20日

AIエージェントとRPAの使い分け|自社に合う選び方と活用法

社内の業務を自動化するため、RPAとAIエージェントのどちらを導入すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。両者は「業務自動化」という役割こそ似ていますが、基本的な仕組みや得意分野に大きな違いがあるため、適切な使い分け方や組み合わせ方を理解しておくことが重要です。
本記事では、RPAとAIエージェントのそれぞれの特徴を紹介したうえで、使い分けと連携のコツ・ポイントを解説します。この記事を読むことで、自社の課題に合わせて両者の強みを活かせるようになるため、大幅な業務効率化や生産性向上につながります。

【目次】

  1. AIエージェントとは?従来の生成AIとの決定的な違い
  2. AIエージェントとRPAの使い分けと連携
  3. 導入前に知っておくべきAIエージェントの弱点とセキュリティ対策
  4. ノーコードAIエージェント・RPAの選び方と比較
  5. まとめ:自社に最適なツールを活用して業務効率化を加速させよう

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AIエージェントとは?従来の生成AIとの決定的な違い

AIエージェントとRPAを使い分けるには、それぞれの特徴や仕組みをよく理解しておく必要があります。ここでは、まずAIエージェントの概要や生成AIとの違いなどについて詳しく解説します。

自ら考え、行動する「自律型AI」の仕組み

AIエージェントとは、目標達成に必要な計画立案からタスクの遂行まで、一連のプロセスを一気通貫で実行できる次世代型のAIツールのことです。その最大の特徴は、「自律型AI」という点にあります。最終的なゴール(目標)を設定さえすれば、あとはAIが自律的に計画を立て、自ら必要なツールを選択してタスクを実行します。そのため、人間が一つひとつの作業手順をプログラミングする必要がありません。
例えば、「競合他社の最新動向を調査してレポートにまとめて」と指示を出すと、次のような手順で作業を実行します。

1.設定したゴール(競合調査~レポート出力)に沿った計画立案

2.Web検索で競合他社の最新動向や新製品などの情報を収集

3.表計算ソフトやドキュメント作成ツールなどでデータを整理

4.表やグラフといったグラフィック要素を加えてレポートを出力

プログラミング通りに作業を実行するのではなく、人間のように自ら考えて行動を起こせる点が、AIエージェントの最大の強みです。

指示待ちの「生成AI・チャットボット」からの進化

ChatGPTをはじめとする従来の生成AIは、基本的に「一問一答形式」で動作します。人間が質問や指示を行ってはじめて回答を生成する、いわば「指示待ち」のシステムです。
一方のAIエージェントは、複雑な思考が連鎖するように、作業プロセスを修正しながら継続的にタスクを実行します。そのため、文章の生成や要約などの単一タスクにとどまらず、顧客分析や採用管理といった煩雑なプロセスが求められる業務での活用が可能です。

AIエージェントが注目される背景と2025年の動向

インドとアメリカに拠点を置くリサーチ会社Grand View Research社の発表によると、日本のAIエージェント市場は、2024年時点で2億5,000万米ドル(1米ドル=150円換算で約375億円)規模でしたが、2030年には24億3,000万米ドル(1米ドル=150円換算で約3,645億円)へと大幅に拡大することが予想されています。これは、2025年からの年平均成長率(CAGR)に換算すると46.3%という驚異的な推移となります。1
このようにAIエージェントが注目を集める背景には、人手不足の問題が深刻化するとともに、DXの必要性が高まっていることが挙げられます。労働人口が減少するなか、限られたリソースで生産性を高めるには、複雑な業務プロセスをも自動化する仕組みが不可欠です。
このような環境下で2025年には、AIエージェントの基盤となる大規模言語モデルの飛躍的な進化や、SoftBank・NECをはじめとする大手企業の参入などがあり、まさに同年は「AIエージェントの実用化元年」だったといえます。今後、知的労働をサポートする存在として、さまざまな業界で導入が進んでいくことが予想されます。

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AIエージェントとRPAの使い分けと連携

業務自動化ツールとして注目を集めるAIエージェントですが、従来はRPA(Robotic Process Automation)がその役割を果たしてきました。しかし、時代の進展とともに、単にAIエージェントからRPAへと世代交代を果たしたわけではありません。
むしろ、両者をうまく使い分けることで、より大きな業務効率化につながります。そのためにも、それぞれの得意分野と連携方法を押さえましょう。

RPAが得意なこと(定型業務・ルールベース)

RPAが大きな強みを発揮するのは、明確なルールが定められている「定型業務」です。データ入力や給与計算、売上の集計など、確実性や再現性が求められる業務を指します。RPAは、事前に設定したシナリオに沿って、パソコン上の操作を忠実に再現する仕組みです。そのため、ヒューマンエラーを抑えつつ、大量の処理を人間よりも素早く実行できるメリットがあります。

【関連記事】RPAとは?初心者向けに業務自動化をわかりやすく解説

AIエージェントが得意なこと(非定型業務・判断・推論)

AIエージェントが得意とするのは、RPAと対照的な「非定型業務」です。顧客からの問い合わせ対応や新規事業の戦略策定、デザイン制作などが該当します。このような業務では、状況に応じた判断や臨機応変な対応が求められるため、シナリオに沿って作業方法や手順を制御するのは困難です。
その点、AIエージェントでは、明確なルールがなくても文脈を読み取ったうえで、柔軟な思考によって最適な回答にたどり着けます。そのため、柔軟性が求められる非定型業務とは好相性です。
ただし、この柔軟性は、毎回異なる回答を出す特性(非決定性)と表裏一体の関係にあります。このような点から、正確性が求められる定型業務には向いていません。

迷ったらどちら?導入すべきツールの判断基準マップ

RPAとAIエージェントのツール選びで迷った場合は、「判断の必要性」と「業務の定型度」の2軸を基準にすると良いでしょう。「判断の必要性」が高いほど戦略性や創造性が求められ、「業務の定型度」が高いほど手順が固定されていることを表します。

例えば、「業務の定型度」が高く、「判断の必要性」が低いデータ転記や請求書処理といった業務は、RPAの得意領域です。一方、複雑な承認や問い合わせ対応など、「判断の必要性」が高くなると、より高い柔軟性が求められるため、AIエージェントを検討すべきだといえます。

RPAとAIエージェントの「連携」がもたらす究極の業務自動化

RPAとAIエージェントは使い分けるだけでなく、組み合わせて活用することも一案です。具体的には、次のような連携方法が浮かびあがります。

1.顧客から複雑かつ長文の問い合わせメールが届く

2.AIエージェントがメールの文脈を解析し、最適な回答文を生成

3.RPAがその回答文を受け取り、CRMへの登録や顧客への返信を自動実行

このように、RPAの「確実性」とAIエージェントの「思考力」を連携させることで、これまで困難だった高度な自動化、いわゆる「ハイブリッド自動化」が実現します。これは人間の介在を最小限に抑えつつ、業務品質とスピードを大きく向上させる強力な活用法です。

導入前に知っておくべきAIエージェントの弱点とセキュリティ対策

優れた業務自動化ツールであるAIエージェントですが、ハルシネーションや情報漏洩リスクといった弱みも兼ね備えています。安全にAIエージェントを利用するためにも、その弱点と対策方法をよく理解しておくことが重要です。

ハルシネーション(もっともらしい嘘)のリスクと対策

AIエージェントに限らず生成AIツールでは、ときとして事実と異なる情報があたかも本当のように生成されることがあります。このような現象は、「ハルシネーション」と呼ばれています。特に、顧客と直接かかわる業務や、意思決定につながる業務においては、ハルシネーションが致命的なトラブルにも発展しかねません。そのため、AIの出力結果を鵜吞みにせず、人間による校正やファクトチェックを実施することが大切です。

機密情報の取り扱いとデータガバナンス

もう一つの注意点として挙げられるのが、情報漏洩のリスクです。生成AIへの入力データは、AIモデルの学習に利用され、別のユーザーへの回答として使用される可能性があります。そのため、顧客の個人情報や社内の機密データなどの取り扱いには注意が必要です。
AIエージェントのなかには、入力データを学習に利用させない「オプトアウト設定」が可能な製品も存在します。法人向けプランやオプションとして提供されていることも多いため、安全性の観点から契約方法を検討することも大切です。
また、AIエージェントが社内システムの情報を収集するにあたって、権限管理を徹底することも忘れてはなりません。AIが閲覧・操作できる範囲を最小限に設定することで、予期せぬ情報流出を避けられます。

人間とAIの協働「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)」

AIエージェントを活用するうえで欠かせない概念が、「ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-Loop/HITL)」です。ヒューマン・イン・ザ・ループとは、すべてのプロセスをAIに任せきりにするのではなく、最終的な決裁や例外的な処理が必要な際に、意図的に人間を介在させる仕組みを指します。
例えば、AIが生成した書類を顧客へと送信する前に、担当者の画面にポップアップを出して承認を求めるようなシステム設計が該当します。このような工夫により、業務のブラックボックス化を抑制できるだけでなく、責任の所在が明確になって現場にも安心感が生まれるでしょう。

ノーコードAIエージェント・RPAの選び方と比較

近年は、AIエージェントやRPAのなかでもノーコード型の製品が主流となっています。ここでは、ノーコード対応ツールのメリットや選び方のポイントを解説します。

ノーコード対応ツールのメリットとは?

ノーコード対応ツールを活用するメリットは次の通りです。

プログラミング不要でシナリオや目標を設定できるので、高度なIT知識を備えたエンジニアをアサインする必要がありません。IT部門に頼らずとも、現場のなかで最もその業務に詳しい担当者が、自らツールを操作できます。設定内容に不備があっても自身で修正できるため、トラブル対応のスピードアップや属人化の防止にもつながるでしょう。

ツール比較の3つのポイント(連携力・使いやすさ・サポート)

ノーコード対応ツールを選定する際は、次の3つのポイントを意識することが重要です。

プログラミングの知識や技術が不足している人でも、簡単に使いこなせるのがノーコード対応ツールの魅力です。そのため、簡易的なマウス操作で容易に扱えるかが重要となります。UIやUXはもちろん、日本語対応の有無や各種機能の視認性、設定の容易さなども事前に確認しておくと良いでしょう。
また、AIエージェントやRPAでは、CRMやグループウェアといった既存ツールと併用することも珍しくありません。だからこそ、連携可能なツールの種類や、具体的な連携方法も確認しておく必要があります。
初めてAIエージェントやRPAを導入する際は、サポート体制にも着目しましょう。問い合わせチャネルの種類や対応可能な時間帯、学習コンテンツの有無など、サポートの充実度はツールの定着率にも大きく影響します。

まとめ:自社に最適なツールを活用して業務効率化を加速させよう

RPAとAIエージェントは、どちらも業務自動化を目的としたツールですが、両者は対立するものではなく、それぞれの弱点を補い合う関係にあります。定型業務はRPA、非定型業務はAIエージェントといった形で使い分けられるほか、2つのツールを併用して「真の自動化」を実現することも可能です。
「エンジニアが不在」「プログラミングのノウハウがない」といった場合でも、ノーコード対応ツールを活用すれば、現場主導で即座にRPAやAIエージェントを導入できます。スモールスタートにも向いているので、この機会に自動化ツールを導入し、DXの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

出典

1 Grand View Research, Inc. “Japan AI Agents Market Size & Outlook, 2026-2033,” Horizon Databook, https://www.grandviewresearch.com/horizon/outlook/ai-agents-market/japan(最終閲覧日:2026年5月20日)

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