RPAって何?
2025年10月17日
2025年、ビジネスの世界は生成AIの話題で席巻されています。NTT DATAの調査によれば、米国企業による生成AI開発への投資は2023年から2024年にかけて実に6倍にも増加。2025年末には380億ドル市場に達すると予測されています。
しかし、熱狂の裏側で厳しい現実が明らかになっています。MITのNANDAレポートによると、実行されたAIパイロットプログラムのうち、実際に数百万ドル規模の価値を引き出しているのは、わずか5%。残りの95%は、損益に測定可能な影響を与えることなく停滞しているのです。
この「期待」と「現実」のギャップは、なぜ生まれるのでしょうか。
本記事では、多くのAIプロジェクトが失敗する理由と、地に足のついた成果を求める企業が今、なぜ「RPA」に注目すべきなのか最新のデータを交えながら解説します。
AIへの投資を冷静に判断するために、まず参照すべき非常に有用なフレームワークがあります。それが、ITリサーチの世界的な権威である米ガートナー社が提唱する「ハイプサイクル」です。

新技術は「期待」と「現実」の浮き沈みを経て成熟します。「過度の期待のピーク期」を迎えた後、実態が伴わず「幻滅期」へ移行し、最終的に「生産性の安定期」へと成熟していきます。
現在のAIは、まさに「過度の期待のピーク期」に位置しています。
この時期の危険性は、技術の真の能力以上に可能性が語られ、「AIを導入すること」自体が目的化してしまうこと。冷静な投資判断が最も難しい局面なのです。
もちろん、これはAIの将来性を否定するものではありません。AIはやがて幻滅期を乗り越え、ビジネスに不可欠なインフラになるでしょう。しかし重要なのは、その未来像と「今、この瞬間」の現実を混同しないことです。
「過度の期待」は、実際のビジネス現場でシビアな結果として数字に表れています。
S&P Globalが2,400人以上のIT意思決定者を対象に行った調査によれば、AI投資から「大きな成果を収益に与えた」と回答した企業は、わずか11%。投資に対して「損益分岐点に達した」企業は全体の3分の1にとどまり、14%は「損失を記録した」と回答しています。
こうしたROIの欠如が原因で、多くのプロジェクトが打ち切られています。2025年には42%もの企業がほとんどのAIプロジェクトを放棄。企業のPoC(概念実証)の平均46%が本番稼働前に中止されています。
この動きは、大企業でさえ例外ではありません。ファーストフード大手のマクドナルドが、2024年にAIを活用したドライブスルーの試験運用を、十分なリターンを達成できなかったとして中止したことが大きな話題となりました。
では、なぜ多くのプロジェクトが「生産性向上」を掲げながら、最終的な利益に結びつかないのでしょうか。
多くのAIプロジェクトがROIの壁にぶつかる最大の理由、それは「生産性の向上」と「事業への貢献(ROI)」を混同してしまう落とし穴です。
この問題を象徴するのが、GitHub Copilotを巡るデータです。
ある調査では、GitHub Copilotを利用した開発者は、タスク完了までの時間が55%も速くなったという驚異的な結果が報告されました。
しかし、別の独立した調査では全く異なる側面が明らかに。Copilotを利用した開発者のプロジェクト全体の完了サイクルタイムに改善は見られず、むしろ生成されたコードのバグ発生率が高まったというのです。
なぜこのような矛盾が生じるのか。その根本原因の一つが、AIの「ハルシネーション(幻覚)」です。
現在の生成AIは、5%〜10%の確率で、もっともらしいが誤ったデータを生成します。さらに厄介なのは、その誤った5%がどこにあるのか、AIは教えてくれないということ。
コードを書くスピードが3倍になっても、どこにバグが潜むか分からないため、結局全体を検証し直す。ミーティングノートの書き起こしが瞬時に終わっても、事実と創作が混在するため、元の録音を確認し直す。
見えない5%の誤りを探すために、95%の正しい部分も含めて全体をチェックし直す――この本末転倒が、プロジェクト全体の生産性向上を阻んでいるのです。
一時的に作業スピードは上がっても、その後のデバッグや修正に余計な時間がかかり、結果としてプロジェクト全体の効率は向上しない、むしろ悪化する可能性すらあります。
目先の「速さ」に目を奪われ、最終的な「利益」を見失う。これこそが、AI導入における「生産性の罠」の正体です。
では、この罠を避けるにはどうすればよいのか。答えは、「不確実なAI」ではなく「確実な自動化」から始めることにあります。
AIという発展途上で不確実な技術に大きな投資をすることは、ハイプサイクルの「幻滅期」の荒波に飛び込むようなもの。では、この罠を避け、DX推進と業務効率化を両立しながら着実にROIを生み出すには?
その答えは、自動化戦略の「土台」を実績のある確実な技術で固めること。それこそが、RPA(Robotic Process Automation)です。
AIが確率論に基づく「頭脳」なら、RPAは定義されたルール通りに動く忠実な「手足」。曖昧さは一切ありません。
RPAの価値は圧倒的な「確実性」。経費精算、請求書処理、データ入力といった定型業務を、24時間365日、ミスなく実行し続けます。
そして最も重要なのが「測定可能なROI」。RPAの導入効果は、「削減できた作業時間 × 人件費単価 − RPAコスト」というシンプルな計算式で算出できます。これは、ROIの算出が難しいAIプロジェクトとは対照的です。
ハイプに踊らされず、まずは足元を固める自動化から始める。それこそが、来るべきAI時代を勝ち抜くための賢明な戦略です。
もちろん、RPAにも限界はあります:
「95%確実だが5%は要検証」のAIと、「100%確実だが柔軟性に欠ける」のRPA――まず後者で土台を固めるのが賢明です。
定型業務の自動化という「確実な成果」を手にしてから、その余剰リソースでAIに挑戦する。このステップこそが、多くの失敗事例が示す教訓なのです。
私たちはAIの将来性を決して否定していません。むしろ、AIの能力を最大限に活かすためにこそ、RPAの存在が不可欠と考えています。
賢い自動化戦略の鍵は、両者の役割分担です。一言で言えば、AIは「判断を下す脳」、RPAは「実行する手足」。
例えば、顧客からの問い合わせメール対応を考えてみましょう。
AI(脳)がメールの文面を読み解き、「返品依頼か、住所変更か」を判断し、顧客IDや注文番号を抽出。次に、AIが構造化したデータを受け取ったRPA(手足)が、顧客管理システム、経理システム、在庫管理システムを横断し、一連の作業を正確に実行します。
AIの「柔軟な判断力」と、RPAの「確実な実行力」。この二つが組み合わさって初めて、複雑な業務の完全自動化が実現するのです。
AIは革命を起こす。しかし、利益を生むのは仕組みです。
AIがビジネスに革命をもたらす可能性は、疑いようもありません。しかし重要なのは、壮大な未来像に目を奪われて「今日の利益」を見失わないこと。
ハイプの波にただ乗るのではなく、その波を乗りこなす。そのためには、まず自社の足元をRPAという確実なサーフボードで固めることが、最も賢明な選択です。
あなたの会社では、どこから自動化を始められそうでしょうか?
自動化の第一歩として、以下の3つのステップをお勧めします:
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