コラム
2026年2月18日
kintoneの導入を検討しているものの、“ローコード”という言葉を聞いて「使いこなすのは難しそう」「プログラミングが必要なのでは?」と不安に感じていませんか。ノーコードだと思って導入したのに思い通りに業務改善が進まず、結局エンジニアに頼ることになってしまった――そんな事態は避けたいところです。
しかし、最初から高度な知識や開発スキルを求められるわけではありません。kintoneは、誰でも簡単に作れる「ノーコード」の手軽さと、プロ仕様の拡張性を持つ「ローコード」の両方の性質をあわせ持つ、いわば“いいとこ取り”のツールなのです。
この記事では、自社の業務には標準機能(ノーコード)だけで十分なのか、それとも拡張機能(ローコード)が必要なのかを見極める判断基準を整理し、kintone導入で失敗しないための考え方と進め方をわかりやすく解説します。
【目次】
kintone(キントーン)は、専門知識がなくても始められる手軽さと、本格的な業務にも耐えられる拡張性を兼ね備えたツールです。まずはノーコードで業務改善を始め、必要に応じてローコードで機能を拡張していくことをおすすめします。
ノーコードとは、プログラミングを一切行わず、画面上の設定や操作だけでアプリを作成する手法です。一方、ローコードは基本的にノーコードであるものの、対応しきれなくなった場合には最小限のプログラムコードを追加して機能を拡張する手法を指します。
下表は、他の手法と比較した場合のkintoneの位置づけを整理したものです。kintoneはノーコードとローコードの両方をあわせ持っており、「最初から作り込みすぎない」「必要になったら拡張する」という進め方ができる「中間」の立ち位置にあります。
【各種ツールの比較表】
| kintone | ノーコード専用ツール | スクラッチ開発 | Excel | |
| メリット | ノーコードで開始し、必要に応じてローコードで拡張できる | 画面操作だけで簡単に作成できる | 要件に合わせて自由に開発できる | 個人利用や簡易的な管理に最適 |
| デメリット | 設計次第で活用度に差が出やすい | 機能に限界があり、複雑な業務には向かない | コスト・開発期間・保守負担が大きい | 共有・同時編集・管理権限に弱い |
kintoneは、入り口は「ノーコード」で直感的に使える一方、標準機能で不足が出た場合には「ローコード」で高度な拡張ができる点が特徴です。ドラッグ&ドロップの簡単操作でアプリを作成できますが、JavaScriptやCSS、APIを使えば、画面デザインの大幅な変更や他システムとの連携といった本格的なカスタマイズにも対応可能です。
ノーコードとローコードの”いいとこ取り“によって、「現場はノーコードで自ら改善を進める」「情シスやパートナー企業はローコードで高度な基盤を整える」という役割分担ができるようになります。
kintoneの導入を検討する際に悩みがちなのが、「どこまで標準機能で対応できるのか」「いつ拡張を考えるべきなのか」という点です。ここでは、ノーコードで対応可能な業務の範囲を示しつつ、ローコードが必要になる判断の目安をご紹介します。
標準機能(ノーコード)の活用は、脱エクセルの第一歩といえます。散らばっていた情報をチームで共有できるようになると、日々の業務がスムーズに進み、以下のような業務改善につなげられます。
・データ蓄積・共有
顧客リストや案件管理、日報など、散財していたExcelファイルを一つにまとめる
「誰が最新データを持っているかわからない」という状態から脱却できる
・プロセス管理(ワークフロー)
申請→承認→決裁の流れをステータス管理する
「今どこで止まっているか」「誰の対応待ちなのか」が一目でわかるようになる
・コミュニケーション
レコード(データ)ごとにコメントを残す
情報と紐づいた状態で指示や相談の内容を示すことができる
・簡易な可視化
売上推移や担当者別件数などをワンクリックでグラフ化する
数字を集計する手間がなくなり、簡単な分析や状況把握にすぐ活用できる
紙やExcelからの脱却を目的としたプロジェクトは、この標準機能だけで8割方解決できるケースがほとんどです。「まずは業務を整理したい」「情報を共有できる状態にしたい」という段階であれば、ノーコードだけでも十分に成果を出せるでしょう。
kintoneを運用していくと標準機能の「壁」を感じる場面も出てきます。ノーコードだけで対応できない場合は、拡張機能(ローコード/プラグイン)を活用することで対応の幅を大きく広げられます。
以下は拡張機能が必要となる作業の一例です。
・複雑な条件分岐・計算
「Aの場合はX、Bの場合はY」といった複雑な入力制御や自動計算
・他システムへのデータ連携
会計ソフトへの自動仕訳登録、Webサイトからの問い合わせの取り込みなど
・帳票出力
自社指定のフォーマット(Excel/PDF)での帳票出力
・高度な集計
複数のアプリをまたいだ予実管理や差異チェック
こうした要件が業務の中に含まれているかどうかを確認するために、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
【判断チェックリスト】
□ 条件によって必須項目や入力ルールを変えたい
□ 他の基幹システムとデータを自動同期したい
□ 指定の帳票フォーマットで出力・印刷したい
□ ボタン一つでメールを一斉送信したい
□ 予実の差異を自動で算出・可視化したい
上記の項目に当てはまる場合は、「標準機能+α(ローコード)」を検討する必要があります。業務を無理に標準機能に合わせるのではなく、必要な部分だけ拡張することを意識しましょう。
標準機能だけでは物足りない一方で、コードを書くのはハードルが高い――そんな非エンジニアにとって有効なのが、コードを書かずに機能を拡張できる「第3の選択肢」です。
プラグインとは、誰かが作ったプログラムをインストールするだけで機能を追加できる仕組みです。スマートフォンにアプリを取り込むようなもので、コードを書かずとも設定画面だけで「カレンダー表示」や「ルックアップ自動取得」などを追加できます。
プラグインの活用は、ノーコードでローコード並みの機能を手に入れる最強の手段といえます。まずは標準機能でできるかどうかを確認し、難しい場合にはプラグインを検討するとよいでしょう。
もう一つの選択肢が、kintoneの外側から業務を自動化する方法です。kintone自体をカスタマイズするのではなく、RPA(ロボット)を使って「人間が行っているパソコン操作」を代行させます。
具体的な活用シーン
・入力の自動化
取引先から送られてくるExcel注文書をkintoneに転記する
・出力の自動化
kintoneのデータを取引先指定のWebシステムへ転記する
こうした自動化はkintone側の構成を複雑にせずに済むため、現場でのメンテナンス性が高く、内容を修正しやすい利点があります。また、RPAにもノーコードで使えるツールが多く、画面操作を記録する感覚でロボットを作成できます。kintoneを無理に作り込まずとも、RPAとの連携によって人手に頼っていた作業を簡単に自動化することができます。
kintoneをうまく活用している企業に共通しているのは、最初から完璧な仕組みを作ろうとしないことです。ここでは、成功企業が実践しているkintoneの導入ステップをご紹介します。
最初のステップは、現場にとって身近な業務からノーコードを取り入れることです。例えば「営業部の日報」「総務部の消耗品申請」など、日常的かつ改善効果が見えやすいものから始めることをおすすめします。まずは現場のメンバーに「自分たちで作れる・直せる」という感覚を持ってもらい、小さな成功体験を作ることがポイントです。
kintoneの運用を続けていくと、「ここが不便」「もっとこうしたい」といった現場の声が上がってくることがあります。プラグインや月額制の連携サービス(Webフォーム作成など)の追加は、現場の要望に合わせて検討するようにしましょう。
最初から作り込まず、本当に必要になった段階で初めて投資することで、使わない機能に無駄なコストをかけてしまうリスクを抑えられます。
データが十分に蓄積され、経営判断や全社最適に活用するフェーズになると、API連携などのローコード開発が選択肢に入ってきます。この段階では、SIerや開発パートナーと連携し、生産・販売・会計などの基幹システムとつなぐケースもあります。過度な内製開発は属人化のリスクが大きく、特定の担当者がいなければ運用や改善が進まなくなります。成功している企業はまず自分たちで調べて試し、それでも解決できない部分だけを外部のサポートに相談しています。こうした「自分たちでできること」と「プロに任せること」を切り分けるハイブリッド運用こそが、長期的に安定したツール活用につながる最適解といえるでしょう。
kintoneは「ノーコードの手軽さ」と「ローコードの拡張性」を兼ね備えたツールです。「ローコード=難しい」というイメージを持たれがちですが、将来やりたいことが増えても対応できる懐の深さがあると捉えるのが正解です。
非エンジニアであっても、プラグインやRPAを使えばコードを書かずに高度な自動化・効率化を進めることができます。まずは30日間の無料トライアルを利用し、テンプレートのアプリを触ってみることから始めましょう。「ノーコードでここまでできる」という実感を得ることが、失敗しないkintone導入への第一歩となります。